品質を良くするISO9001の取組みについて
ISO9001(2015年度版)には、以下に示すように「品質を良くする」或いは「品質を保証す る」ための各種要求事項が盛り込ま
れている。ただし、これら以外にも品質を良くするための要求事項が多く盛り込まれているが、活動の重点を絞るために、以下の項目を
取り上げた次第です。
これらの要求事項が確実に実施されれば、間違いなく望ましい品質が実現できるはずです。そのためには、これらの要求事項について
赤色表示の箇所に具体的な内容やポイントを記載、その下に補足説明しています。
6. 計画
6.1 リスク及び機会への取組み
6.1.1 品質マネジメントシステムの計画を策定するとき、当社は、4.1(組織及びその状況の理解)に規 定する組織の内外の課題及び4.2
(利害関係者のニーズ及び期待の理解)に規定する要求事項を考慮 し、取り組む必要があるリスク及び機会を責任者会議にて決定する。
6.1.2 当社は、次の事項(決定したリスク及び機会への取組み)を「活動計画」などで計画する。
リスクとしては、クレーム、品質事故、品質低下、設備不良、材料・人材不足など、
機会としては、新製品発売、市場拡大、新顧客層の開拓、顧客満足度の向上などが考えられる。
これ らの中から優先度の高い項目を「活動計画」に盛り込み。6.2.2の取組みを行う。
6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
6.2.1 当社は、「活動計画書」の中で関連する機能、階層及びプロセスにおいて、品質目標を確立する。
6.2.2 当社は、「品質活動計画書」の中で品質目標をどのように達成するかについて計画するとき、次の事項を決定する。
a) 実施事項 必要な資源 責任者 実施事項の完了時期 結果の評価方法
6.1.リスク及び機会への取組みや 10.2不適合及び是正処置などで取上げた事項を「活動計画」に 盛り込み、その達成状況を定期的
にフォローする。この活動により、品質問題などの課題事項を着 実に改善する。
7.1.4 プロセスの運用に関する環境
当社は、プロセスの運用に必要な環境、並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な環境を、「5S推進表」で明確にし、
提供し、維持する。
ものづくり現場での品質は、5S活動等に比例しており、品質の良い企業は5Sが徹底されている。
定期的に職場の5S巡視を行い、問題点があれば継続的に改善を推進する。
7.1.6 組織的な知識
当社は、プロセスの運用に必要な知識、並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確にする。
過去の失敗の記録やノウハウ集、業界標準や他社の品質問題、顧客情報などをリストアップし、新製 品量産開始時に、類似の問題を
再発させないか確認し、問題があれば即改善を求める。
起こしてしまった問題を振り返ると、過去に類似の原因で発生したものが多く、事前にチックリスト などでチックしておけば防ぐこと
ができる。
7.2 力量
当社は、次の事項を行う。
a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う
人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
b) 適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
品質に影響を与える業務を担当する当社従業員、常駐外注先従業員、派遣社員等を対象に必要な力量のスキルマップを作成し、それに
基づき必要な教育を行う。
「品質は人質で決まる」と言ってもよい。
8.1 運用の計画及び管理
当社は、次に示す事項の実施によって、製品及びサービスの提供に関する要求事項を満たすため、並びに6項で決定した取組みを実施
するために必要なプロセスを、「当社品質マネジメントシステム体系」にて計画し、実施し、かつ、管理する(4.4参照)。
a) 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
b) 次の事項に関する基準の設定
1)プロセス
2)製品及びサービスの合否判定
製品仕様書、製品図面、見積書等、作業標準、検査基準等を作成し、顧客他関連部署の承認を得ておく。
8.2.4 製品及びサービスの関する要求事項の変更
製品及びサービスの要求事項が変更されたときには、変更することを確実にする
筆者が勤務していたP社では、品質問題の約8割が何らかの変更を行ったときに発生している。
変更時の管理、評価や検査などを徹底しておれば防止できた内容である。
8.5.1 製造及びサービス提供の管理
当社は、製造及びサービス提供を、管理された状態で実行する。
管理された状態には、次の事項のうち該当するものについては必ず含める。
a) 次の事項を定めた文書化した情報を利用できるようにする
1 )製造する製品、提供するサービス、又は実施する活動の特性
2)達成すべき結果
b) 監視及び測定のための適切な資源を利用できるようにし、かつ、使用する
c) プロセス又はアウトプットの管理基準、並びに製品及びサービスの合否判定基準を満たしている
ことを検証するために、適切な段階で監視及び測定を行う。
d) プロセス運用のために、適切なインフラストラクチャ及び環境を使用する。
e) 必要な適格性を含め、力量を備えた人々を任命する製造及びサービス提供のプロセスで結果とし
て生じるアウトプットを、それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合には、製造及び
サービス提供に関するプロセスの、計画した結果を達成する能力について、妥当性を確認し、定期
的に妥当性を再確認する。
これらに該当するのは、製品図面、仕様書等、スキルマップ等、計測器管理台帳、QC工程表、作業標準、検査日報、各種検査記録表、
検査チェックシート、設備管理台帳、特殊工程管理表などである。
製造などに必要な文書類を作成し、適切な内容の確認と、その運用管理で品質が決まる。
特に、後で出来栄えの確認できない特殊工程の管理は重要である。
8.5.6 変更の管理
当社は、製造又はサービス提供に関する変更を、要求事項の継続的な適合を確実にするために必要な程度まで、「変更連絡書」に変更
内容を記入し、レビューし、管理する。
筆者が勤務していたP社では、品質問題の8割が何らかの変更を行ったときに発生している。変更時の管理、評価や検査などを徹底して
おれば防止できた内容である。
8.6 製品及びサービスのリリース
当社は、製品及びサービスの要求事項を満たしていることを検証するために、適切な段階において、計画した取決めを実施する。
検査日報、各種検査表等にて必要な検査を実施する。
最近、大手企業での検査不正などが新聞等で取上げられているが、ISOでは認証取消しに該当する。
8.7 不適合なアウトプットの管理
8.7.1 当社は、要求事項に適合しないアウトプットが誤って使用されること又は引き渡されることを防ぐために、それらを識別し、管理
することを確実にする。
赤札等を付け、良品に混入しないよう識別管理を行う。
9 パフォーマンス評価
9.1 監視、測定、分析及び評価
9.1.3 分析及び評価
当社は、監視及び測定からの適切なデータ及び情報を分析し、評価する。
分析の結果は、次の事項を評価するために用いる。
a) 製品及びサービスの適合
b) 顧客満足度
不良品発生記録表や顧客満足度調査表などに記録し、それらのデータを分析し、評価する。
問題がある場合は、適切な是正処置を取る。
9.2 内部監査
9.3 マネジメントレビュー
内部監査やマネジメントレビューでの指摘事項(例えばクレームや品質問題等に対する処置)について、必ず是正処置が求められて
いる。
10.2 不適合及び是正処置
10.2.1 苦情から生じたものを含め、不適合が発生した場合、是正処置を行う。
当社は、「不適合是正処置報告書」にてクレームや各種品質問題に対して必要な是正処置を取る。
再発しないような是正処置が確実に実施されれば、以降は類似の不具合が発生しないはず。
他の品質を確保する方法では、カバーできない品質問題が発生した場合、品質を良くするには、この是正処置が最も効果的な方法である。